ねえ、理解不能【完】








その日は一日中気が抜けなくて、授業中はずっと千草とゆうのことを考えてしまっていた。

世界史と化学の時間にあてられたけれど即座に「わかりません」と答えたら、先生に怒られた。本当に何にも分からないんだから、仕方ない。世界の偉人が何してたって、物質でどんな反応が起きてたって、今は知ったこっちゃない。



休み時間もいつもなら妃沙ちゃんとお話してすごすけれど、なかなかそんな気分にはなれなくて。机に伏せて寝たふりをしていた。教室からどうしても出なくちゃいけない時は、見たくないものを絶対に視界に入れないように全神経を使ったりなんかして。







そして気がついたら、放課後になっていた。




「青、帰ろう」



ゆうの優しい声。

リュックをかついで私の席にきたその姿を見上げる。

青色のピアスが眩しくて、どんな顔を作ればいいのかやっぱり分からない。




首を少しだけ傾げて微笑みを浮かべるゆうに、私は目を泳がせてしまって。


.......今日は、無理だ。




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