ねえ、理解不能【完】










時間がたてば徐々に消えていくと思った気持ちは、消えるどころか増すばかりで。


ゆうとは、次の日から一緒に帰ったけれど、前のように楽しむこともドキドキすることもできなくて、ごめんね、ばかりを心の中で伝えていた。


けれど、そんな私にゆうは構うことはなく。


手をとって、指先を繋いで、それから爽やかに笑って。
帰り際に、私をぎゅうっと抱きしめるのだ。




「青も、俺のこと抱きしめてよ」


そういう切なげで甘い声に逆らうことはできなくて、そっとゆうの背中に手を回して応えることがほとんとで。


だけど、心は痛くて痛くて。ゆうが好き、なんて自己暗示は全く効かないから、ゆうと抱きあいながら、千草の顔を思い浮かべてみたりして。



正直なところ、ゆうを千草に重ねることでしか、恋人という関係を続けることができないところまできていた。




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