ねえ、理解不能【完】
ゆうの家は、私の家からは結構離れていたけれど、高校から割と近いところにあって複雑な道ではなかったから、分かりやすかった。
二階建ての一軒家。どうぞ、と玄関の扉をゆうが開けてくれた。
「......お邪魔します、」
緊張しながら家に入る。
しん、と中は静まりかえっていて、そういえば昨日、親がいないってゆうが言っていたことを思い出す。
初めてみる風景に、無意識のうちにきょろきょろと辺りを見渡してしまって。
知らない間に、肩にも力が入ってしまっていたみたいだ。
「誰もいないから、緊張しなくていいよ」
後ろから、ゆうが私の肩をほぐすように撫でた。
私は、靴を脱いで家にはいる。ゆうは後ろ手で玄関のドアをしめたけれど、鍵は閉めなかった。