ねえ、理解不能【完】
ゆうが部屋に戻ってきてからは、すぐにゲームをすることになった。
小さい頃ゲーマーだったんだよね、と少しだけ照れながらカミングアウトしてきたゆうは、ゲームの手捌きがたしかにすごくて。
そしてわかったことは、ゲームは偉大ってことだ。
夢中になってゲームに没頭していれば、結構それ以外のことは何でもよくなるんだな、ってそんな感覚は初めてだったから、もうすこしはやくゲームと出会えてればよかった、なんて思ったり。
いつの間にか、ゆうはベッドの上に座っていて、私のすぐ隣にいた。
時々、腕が触れあうような距離。
「もうちょっと、こっち!あ、そこまでいくと、倒されるよ、ほらっ、ボスいるから!」
「うわあ、ごめん、ゆうーバトンタッチしてもらっていい?私、ここはクリアできないよー」
二人でコントローラーを片手にゲームの画面を必死に睨む。
こうやって、ずっと過ごしていれば余計なことを考えなくてすむ。
これからのゆうとのデートは全部ゲームがいいな、なんて。
1人で家にいる時も、千草のことを考えてしまいそうにになったら、ゲームで誤魔化そうかな。そのためには、ゲーム機を買うところから始めないといけないけれど。