ねえ、理解不能【完】
ゆうが、今までベッドの上についていた手で私の手を包む。
触れ方は丁寧だったけれど、ぎゅっと包む力は結構強かった。
ゆうの手のひらの生温かい温度に、これはたしかに現実なんだって思い知らされる。
「青、」
「っ、....な、に?」
「ーーキス、したい」
真っ直ぐな言葉は、真っ直ぐなままに鼓膜を震わせて、それから心まで届いた。
捕らえられた瞳から、包まれた手のひらから、熱が侵入する。
予想通りだった。マズイ、状況だ。
どうすればいいのか、わからない。
まるで、ゆうに支配されているみたいで。
「していい?青、」
どうやって返事をするのかも忘れて、何も答えられずにいたら、ゆうの顔はさらにゆっくりと近づいてきた。
私の手をつつむ、ゆうの手のひらの温度があがる。
瞳は近づきすぎると合わさってることも分からなくなるんだ、とぼやけた思考回路で思う。
そして、
「……っ」
ゆうの唇が、私の唇に掠めるように触れた。