ねえ、理解不能【完】
「.......んんっ、」
脳が、熱に侵されていく。
息継ぎの仕方なんてわかるわけがない。
酸素もたりなくて逃れたいのに、どうやって逃げればいいのかもわからなくて。
まるで、溺れてるような心地の中、なぜか、頭のなかに浮かんだ千草が、
泣いていた。
どうして、今、その表情を思い出してしまったんだろう。
千草の泣き顔なんて幼い頃に数回しか見たことないのに。
高校生の千草がどんな風に泣くかなんて知らないのに、泣いているの。
.....ねえ、千草。
私、追いつけた?
もう、千草に並んだ?