ねえ、理解不能【完】



息継ぎをしないと死んでしまう、と生命の危機を感じて口をほんの少し開けた瞬間、ゆうの舌が私の口内に侵入して。


嫌悪感、罪悪感、恋情。それらがごちゃごちゃになって、涙腺を刺激する。




ゆうにされるがままだ。

口内をまさぐるゆうの舌に、私はどうすればいいのか、どうしたいのか、どうするべきなのかも分からないで、じっと耐える。



ゆうの私への好きの気持ちが溢れてる。受け止められないのに、受け止めたふりをして、拒むこともできないでいる。


この行為に意味を見つけるなら、それは、同情だ。




広野みゆちゃんと千草もこんな風にキス、しているの?

あの日、千草の家の前でみた二人のキスが脳裏に浮かぶ。



千草が広野みゆちゃんを好きって気持ちも溢れていた?お互いに与え合っていた?

同情なんかじゃない。愛情のキス、千草と広野みゆちゃんのキスはきっとそれだ。






だめだ、もう、わけがわからない。





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