ねえ、理解不能【完】
「ゆ、う、.....!やだって、お、ねがい!」
ゆうの指先が、ブラジャー越しに私の胸に触れて。ゾワリ、嫌悪感だけが私に迫る。
首元に触れたままの唇、表情の見えないゆう。
泣いても、嫌だといっても、拒んでも、やめてくれない。頭の中は、もう恐怖と絶望しかなくて。それから、すごく悲しい。
だって、この行為は。
わかるよ。
したことがなくても、わかる。どうするかは知らないけれど、意味することは私でもわかる。
この行為は、
お互い大好きな人たちがすることだ。
ごめんなさい。
___ 私ね、やっぱり、これっぽちも、あなたに恋なんてしていないんだ。
私は、ぐっと唇をかんで、ありったけの力でゆうを押した。
そうしたら、やっとゆうの身体が少し離れて。
その瞬間を逃さずに、隙間から逃げ出した。
「.......ごめっ、ん、青」
ゆうの言葉には何も返さないで、一目散に部屋から出て、スニーカーの底を踏んだまま、ゆうの家を飛び出した。