ねえ、理解不能【完】





「ゆ、う、.....!やだって、お、ねがい!」



ゆうの指先が、ブラジャー越しに私の胸に触れて。ゾワリ、嫌悪感だけが私に迫る。



首元に触れたままの唇、表情の見えないゆう。




泣いても、嫌だといっても、拒んでも、やめてくれない。頭の中は、もう恐怖と絶望しかなくて。それから、すごく悲しい。





だって、この行為は。


わかるよ。

したことがなくても、わかる。どうするかは知らないけれど、意味することは私でもわかる。




この行為は、




お互い大好きな人たちがすることだ。







ごめんなさい。



___ 私ね、やっぱり、これっぽちも、あなたに恋なんてしていないんだ。





私は、ぐっと唇をかんで、ありったけの力でゆうを押した。


そうしたら、やっとゆうの身体が少し離れて。



その瞬間を逃さずに、隙間から逃げ出した。




「.......ごめっ、ん、青」



ゆうの言葉には何も返さないで、一目散に部屋から出て、スニーカーの底を踏んだまま、ゆうの家を飛び出した。






< 289 / 450 >

この作品をシェア

pagetop