ねえ、理解不能【完】
私はかけられたパーカーをぎゅっと握りながら、うつむく。
そうしたら、千草の携帯が音を立てた。
だけど、千草はそれに反応することもなく、携帯をベッドの上に放って、青、と私の名前を呼ぶ。
「全部話せよ」
「.......うん」
そうだよね、話を聞くために千草は私を部屋に入れたんだ。
もう思い出したくないって拒む自分もいるけれど、今千草に打ち明けておいた方が、後々の恐怖が和らぐんじゃないかな、と思う。
「今日ね、朝、ゆうの家に行ったの」
「.....川瀬?は、お前家あがったの?」
「うん、」
「……ばか」
「......うん、私が悪いんだけど、あの、キス、されて、それで頭の中こんがらがっちゃって、それで、あの、お、押し倒されてっ、.......」
……だめだ。思い出す。怖いよ。やっぱり手が震えてしまう。うまく話せなくて、すがるように千草を見つめてしまう。
口の中で動いたゆうの舌の感触とか胸に触れた手とか、身体が覚えている。それらが全部恐怖に変換されてしまうの。
だけど、話さないと。
じゃないと、千草は呆れちゃうでしょう?