ねえ、理解不能【完】
自分の耳元によせられた千草の唇に戸惑って、千草、と名前を呼んだけど、掠れていて震えていて、なんだか自分の声じゃないみたいだった。
「青、」
耳元におとされた切なくて、今まで聞いたことないほどに甘い千草の声に、思考回路は奪われていく。
さっきまで怒っていたはずだった。
確かに私は千草にムカついてた。だから、素直な態度なんて取りたくないって思ってた。
・・・さっき、ってどれくらい前だった?
分からない。
全然、もう、分からない。
今はもう、甘ったるさの中にしかいなくて、お互いが好き、ということは、甘美なのに、ひどく恐ろしい世界だと思った。