ねえ、理解不能【完】
「.......名前と顔は分かる」
千草が怠そうに小さく呟く。千草が川瀬君のこと少しでも知っているなんて実のところ意外だった。人に興味がなさそうだもん。
「私と同じクラスなんだけど」
「知ってる」
….....これは、まだセーフ?
千草の不機嫌レベルがいつ頂点に達するか、気が気じゃない。
私はその不安と戦いながら、ゴソゴソとスクバの中をあさって、川瀬君も好きだといっていた漫画を取り出す。
「これ、川瀬君も好きだって!それでね、嬉しくなって、おすすめの漫画貸してあげる!って私言っちゃって。だから、あの、その、ですね、」
文章をまとめる力が皆無で苦笑いしてしまう。
千草は解読してくれただろうか。
不安になりながら千草のほうをうかがう。