ねえ、理解不能【完】
教室には前と後ろのドアがある。
だから半分の確率で、私が今いる、前のドアを千草は使うはずで。
どっちだろう、と少し身構える。
運が良かったのか悪かったのか、千草が選んだのは私のいる前のドアだった。
千草が近づいてくる。
見えないように、ドアから少し距離をとる。
私がドアの影にはいったせいか、千草は私に気づいていないみたいで。
スクバを持つ手にぎゅっと力をこめる。
どくんどくん、と、幼稚園のお遊戯会と同じくらい緊張してるかも、なんて、変なことを思ってしまう。
そして、千草が、ドアを通り抜けた。