ねえ、理解不能【完】
「ちいくん.......?」
後ろから、聞いたことのある可愛い声が聞こえてきたのは。
でも、その子は“ちいくん”なんて千草のことを呼んでいなかった。旭くんって呼んでいたはずだ。
予想が外れていることを祈って、ゆっくりと後ろを振り向くと、
「.......っ、」
予想は、的中だ。
ムッとしているのか、悲しんでいるのか分からない表情で、首を少し傾げて立っているかわいい天使みたいな女の子。
「ひ、ひろのみゆ、ちゃん」
私の言葉に、千草もワンテンポ遅れて声の元を見た。