彼女は実は男で溺愛で

 ここで父が口を開いた。

「離婚した時期は、莉子がまだ幼い頃で。男性側が親権を取るのは、難しかった」

 そこまで話すと、莉子ちゃんの方が口を開いた。

「私のお母さん、お婆ちゃんに私たち兄妹を預けて、遊びに行っちゃうような人だから。お婆ちゃんはもう歳だし。それでお父さんが一緒に暮らそうって言ってくれて」

 なんの報告を受けているのだろう。
 混乱する頭の中を私なりに整理して、私は口を開いた。

「赤ちゃんのお世話をするのに、お手伝いをお願いしたいっていう話?」

「そうなの」

 私は離れた場所に住んでいるし、ひとりっ子で。
 母が他に誰を頼るのか、考えても思い浮かばない。

 私は莉子ちゃんに、深々と頭を下げた。

「母と赤ちゃんを、よろしくお願いします」

「え」

 驚いた声を聞いて、顔を上げる。

 母は目を丸くして、父と顔を見合わせている。

「史乃。あの、赤ちゃん」

「うん。お母さんが、亮太さんとの子どもを妊娠したのでしょう?」
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