彼女は実は男で溺愛で

 母はますます目を丸くして、それから困ったように言った。

「赤ちゃんを授かったのは、莉子ちゃんよ」

「え」

 今度は私が目を丸くして、絶句した。

「これは、参ったな」

 父は罰が悪そうに、頭をかいている。
 状況がつかめない私に、母が穏やかな声で説明してくれた。

「私たちには娘も息子もいるから、子どもはもう充分。これからの人生を支え合って生きていけたらと思って、一緒になったのよ。まさかこんなにも早く、孫の世話をするとは思わなかったけれど」

 苦笑する母に、莉子ちゃんは居心地が悪そうな顔をしている。

「えっ。だって、私が産んでもおかしくない年頃って」

「ええ。史乃もそういう年頃でしょう」

「そう、かもしれないけど」

 頭が混乱して、全く状況が理解できない。
 黙っていた莉子ちゃんが話し始めた。

「私がお願いしたんです。母には頼れないから、鈴さんに手伝ってほしいって。そこから住まないかって話になって」

「え、ええ」

「でも、史乃さんは父との再婚もまだ心から受け入れられていないのに、私と一緒に住むのは難しいかもしれないって」

「いや、待って。私がここに住むわけじゃないよね?」
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