彼女は実は男で溺愛で

 スタジオを出て歩きながら、指示を受ける。

「席に戻って、お願いしたい資料がある。どうしようか。すぐに支度をするから、休憩室で待っている?」

 染谷さんに戻りかけている彼に、どう指摘すればいいのか。
 先ほどのカメラマンさんの言葉が蘇りそうになって、「えっと、待ってます。はい」と辿々しく返事をした。

 言っている側から、スタッフに捕まっている彼を見て、待っていたら長いかなあ。と、思いつつも休憩室に向かった。

 カフェラテを買っていると、さきほどのカメラマンさんがやって来て「あれ。悠里さんは」と、辺りを見回した。

「今、スタッフの人に連れられて」

「そうか。まあ、ここにいたら会えるかな」

 そう言って、彼も自販機でコーヒーを買った。
< 367 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop