彼女は実は男で溺愛で
スタジオを出て歩きながら、指示を受ける。
「席に戻って、お願いしたい資料がある。どうしようか。すぐに支度をするから、休憩室で待っている?」
染谷さんに戻りかけている彼に、どう指摘すればいいのか。
先ほどのカメラマンさんの言葉が蘇りそうになって、「えっと、待ってます。はい」と辿々しく返事をした。
言っている側から、スタッフに捕まっている彼を見て、待っていたら長いかなあ。と、思いつつも休憩室に向かった。
カフェラテを買っていると、さきほどのカメラマンさんがやって来て「あれ。悠里さんは」と、辺りを見回した。
「今、スタッフの人に連れられて」
「そうか。まあ、ここにいたら会えるかな」
そう言って、彼も自販機でコーヒーを買った。