彼女は実は男で溺愛で

「さ、まずはどの服を試着してもらおうかな」

 悠里さんが選んでくれていた服を、2人で順に体に当て選んでいると、ブブブッと振動音がした。

「ごめん。少しいいかしら」

 ポケットから携帯を取り出した悠里さんは、断りを入れてから電話に出た。

「ええ。分かった。行くから」

 手短に電話を切ると、申し訳なさそうに私に告げる。

「ごめんなさい。仕事でトラブルが発生したみたい」

「それは大変ですね」

「また明日でもいいかしら」

「もちろんです! お仕事、行かれてください」

 服はこのままでいいと言われ、慌しく出て行く悠里さんと、とりあえずフィッティングルームを出る。
 施錠した悠里さんを見送って、私は帰路に就くことにした。

 僅かな時間しかお話できなかったけれど、すごく楽しかった。
 いつか、悠里さんと恋話ができそうな予感がして浮かれていた。
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