彼女は実は男で溺愛で

 携帯を確認すると、母からの電話があり折り返してかける。

「お母さん? 電話、どうしたの」

「元気でやっているかなあって」

「元気だよー」

「本当、声が明るいわ」

 電話の向こう側にも伝わるくらい、私は浮かれているらしい。

 嬉しい。だって、お昼に一緒に過ごせる友達、とまだ呼べるかは分からないけれど、柚羽と知り合えた。

 龍臣さんは怖ろしかったけれど、悠里さんと恋話らしきものができた。

「野菜を詰めて送っておいたから」

「そうなの? いいのに」

「ちゃんと食べなきゃダメよ」

「うん。わかってる。ありがとね」

 母の優しさが沁みる。
 今度の長期連休は、実家に帰ろうか。
 でも、帰ってしまったら、弱音がこぼれそうだ。

「今度の連休、帰ってくるの?」

「んー。どうだろう。こっちで過ごすかも」

「お父さんも寂しがっているわよ」

「うん」

 またかけると言われ、電話は切れた。

 やっと社会人になれた。
 甘えていてはいけない気がして、気持ちを奮い立たせた。
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