彼女は実は男で溺愛で

「だから言ったのに」

 ぼやく悠里さんに嘆く。

「見たくないほど、似合いませんか」

 半泣きの声が出て、悠里さんは手を外し私の方へ歩み寄った。

「違うわよ。こんな格好で歩いていたら、誰かれ構わず悩殺してしまうわ」

 下着が透けている部分で視線が止まったのを感じて、みっともないのだと理解する。

「ガードルがスカートの下から見えちゃうし、胸元もレースで、ブラが透けちゃうので」

「うん。本来は、下着を脱ぐのかもしれないわ」

「や、やっぱり脱いできます!」

 試着室に戻ろうとした私に、悠里さんは言う。

「脱がなくても、スカートの下から見えるガードルのレースが色っぽい」

「え」
< 73 / 390 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop