Get over it.
大神龍生said

玲とこの地に戻って三年の月日が流れた。

この三年は、俺も玲も決して生易しいものではなかった。

玲に至っては、慣れない生活の上に養子になったり結婚したり、
護身術の稽古に若姐としての習い事に出産まで・・・。

おまけに、俺のせいで攫われそうになったり心の休まる日もなかった
だろう。

でも、泣き言も言わず俺についてきてくれた。

俺自身、組のことや大学に追われる生活で荒れそうな気持を、玲が
側にいることで踏ん張れている。

救われているのは、俺自身なんだろう。

ここにきてやっと、落ち着いた生活になってきたのに・・・。


大学のキャンパスを宗志と共に歩いていると、数メートル先に問題の
元凶がいるのが見え、思わず「チッ」と舌打ちしてしまう。

宗志も気づいたのか、あからさまに眉を寄せる。

「あ~!大神先輩~!おはようございます!
 先輩と会えるなんて、愛美今日はついてるみたい~。」

は~、俺はアンラッキーだよ。
そんな俺の気持ちも知らず、猫なで声でベラベラ話出す女にうんざり
しながら、無視を決め込み教室に向かった。

隣を歩く宗志も右手を握りしめキレそうになるのを、我慢してるのが
ありありと見てとれた。

いくら俺が「帝王」と呼ばれ裏の世界で恐れられていたとしても、
一般人の女に手を出すわけにもいかない、ましてや、調べ見れば
玲の義妹・・・どうしたものか・・・。

ついつい後回しにしていたら、等々玲に義妹の存在を知られてしまった。

もう、早めに片付けるしかないな。

今日あたり、京も交えて対策をねるとしよう。

そう心に決め講義を受けることに専念した。




龍生said end

< 41 / 63 >

この作品をシェア

pagetop