雪の降る日
春花はもはや喋れない。

彼が、繋いでいない方の手で、自分の顔を覆った。

「あー俺バカ……。ほんとヘタレ……。さっさと言っちゃえばよかった」

何事かをぶつぶつ言って、春花に向き直る。

「あのさ。一個、訊いていい?」

「な……んですか?」

「俺のこと好き?」

ぶわっと頬に血が上る。

はくはくと唇が開閉するが、言葉は出てこない。

彼は神妙な顔で、辛抱強く待っている。

「……す、きです……」

絞り出した声は掠れていた。

「……ごめん。もう一回」

「……好きです」

「もう一回」

「す……好きですっ……」

「あーやべ」

半分やけで、涙目に言い切ると、彼が顔を寄せた。

ほんの一瞬、柔らかく、唇が触れ合った。

至近距離にある彼の目を見つめていると、溶けてしまいそうに思う。
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