雪の降る日
彼が春花の体を抱き寄せた。

「俺も好き。割と前から」

「……信じられない」

「あのね。なんで今日俺がいたと思うの。雪降り出す前から」

「……なんでですか?」

「会いたかったから」

「…………」

春花は彼のコートに頭をもたせかけた。

現実味がなさすぎてよくわからない。

彼の抱きしめる力が、少し強くなった。

「はーもーほんと……。ていうか、名前。名前教えてよ。あと連絡先」

「前島春花です」

「春花ちゃん」

「……くすぐったい」

「春花?」

「照れる」

「じゃあなんて呼べばいいの」

「なんでもいいです……あ、私にも名前教えてください」

「矢内高之」

「……矢内さん」

「そこは下の名前で呼んでください」

「……高之さん?」

「くんで」

「……高之くん」

ぎゅうう。

また抱きしめる腕が強くなる。
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