雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「それで、千佳は教えてくれないの?」

「うーん。真由はさ、この間の試食会で、何か気がついたことなかった?」

「そりゃ、明彦君が女装してたけど、あれは趣味でいたずらでしょ」

「アキは関係ないんだけど、その、ヒロヤさんや山之内君や池谷君や私を見て」

「えっ、なんで千佳を含めてその四人が関係あるの?」

「うーん、ごめん、うまくヒントが出せない。だけどやっぱり私が言うことじゃないかも」

「ちょっと、千佳」

「やっぱり、私が言うより自分で気がつかなければ、これは解決できないんじゃないかな」

 ものすごく中途半端な助言をされて、余計に混乱してしまった。

 こんなことなら聞かなかった方がよかったとさえ思える。

 かき乱すだけかき乱して、千佳は悪ぶれた様子もなく、残りのパンナコッタを口に入れていた。

 一度、千佳が言わないと決めたことは、どれだけ問い質しても千佳はそれを貫き通す。

 私も大きくため息を一つ吐いて、不満の中でスプーンを口にした。

 パンナコッタは美味しいけれども、千佳の言葉が気になりすぎて、食べ終わった時には物足りなさが残ってしまった。

 そうしているうちに、ヒロヤさんが戻ってきた。

 手には洗濯した数枚のエプロンを抱えていた。

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