雨の滴と恋の雫とエトセトラ
 あの時、名前の由来を話していたら拓登の顔色が変わり、瑛太はそれを見なかったほどにそっぽを向いて不自然だった。

 あれは一体なぜだったのだろう。

 『艶』

 この漢字にはまだ本来の意味があるのだろうか。

「ヒロヤさん、『艶』って名前ですけど、これって豊と色の漢字がが含まれてますよね。だからそのエプロンも名前に合わせて虹のように色とりどりのカラフルさなんですか?」

 何かヒロヤさんから直接ヒントが聞けるかもしれない。

 思った事を何気なく口にしてみた。

「あっ、真由ちゃん、いいところに気がついたね。その通りなんだ。すごい。真由ちゃんは鋭いね」

「真由、あんた……」

 千佳が驚いていた。

 その驚いた千佳の表情を見て、ヒロヤさんは気を遣うように優しく微笑んだ。

「それじゃ、もう分かっちゃった?」

「えっ? 分かった? 何が?」

 私はキョトンとして、ヒロヤさんを見て、その後で助けを求めるように千佳を見た。

 千佳は目をそらした。

「千佳ちゃん、別にいいよ、気を遣わなくて。僕は大切な友達には知ってもらいたいから」

 私だけが何のことか分からなかった。
< 207 / 248 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop