雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「正直、びっくりしましたけど、それがなんなんですか。上手く言えないけど、私はヒロヤさんのお人柄が大好きですし、ヒロヤさんの事は大好きです」

「真由ちゃん、無理しなくっていいって。僕は何も隠してるつもりはなかったんだ。分かる人にはわかるからね。真由ちゃんも店の名前の意味がとうとう分かってくれたかって、ちょっと嬉しかったんだ」

 そのとき、拓登の顔色が変わった意味が分かった。

 アメリカ帰りの拓登には同性愛のシンボルマークが虹という事は知っていたのだろう。

 アメリカは特にそういういことにはオープンだから、自然と知識として身についていていてもおかしくない。

 そしてそれを関連付けてはっとして気がついた。

 そして瑛太も分かっていたから、本当の意味を語る前にその一歩手前の説明をしただけだった。

 真相をぼやかしていたために、そこに触れないようにそっぽを向いていたわけだった。

 なるほど、これで疑問が解けた。

「理解を示してくれる人には僕は正直にカミングアウトするんだ。だって友達になりたいし、大切な人たちだから、隠し事なんてしたくないでしょ」

「私もヒロヤさんにそんな風に思って頂けて嬉しいです」

 ヒロヤさんはハミングをしながら、上機嫌にカウンター内を片付けだした。

 そして私は千佳に振り向いて、何も言わずに全てを理解したと軽く何度か頷いて微笑んだ。

 できるだけ自然にしようとしすぎて、余計に少し引き攣っていたかもしれないが。

「その調子じゃ、何もかも分かったみたいだね。なんだ、半分くらいまでは気がついてたのか。だったらあんな回りくどいこと言わなければよかった」

「えっ、回りくどいことって、あれって、この事を言おうとしてたの? 私のことじゃなかったの?」

「えっ、真由、何それ、あんたどこまで鈍感なの? もうすでに全部分かったかと思ったのに。まだ気がついてないの?」

「えっ、まだ気がつく事があるの?」

「ちょっと、さっきから、えっ、えって、なんでそうなるのよ」

「だって、何のことかわからないんだもん」

「だから、真由の三角関係のことじゃない。なんで池谷君が真由を目の仇にするのか、これでわからないの?」

「はっ?」

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