雨の滴と恋の雫とエトセトラ

「ねぇ、拓登」

 電車のドア付近に一緒に立って、電車に揺られながら私は拓登を見た。

 それまでの間、学校の校門を出て、周りに人がいないのを見計らいながら、いつ話そうかとずっと話すタイミングを窺っていた。

 それでも中々勇気がでずに、どうやって聞き出そうか思案をしている時に限って、拓登の方が話したい話題に尽きずに、いいタイミングに恵まれなかった。

 乗り換えも済まして、自分の最寄の駅に向かい、これを逃したらまた同じ繰り返しで悶々としてしまうので、やっと覚悟ができたその時、真剣に向き合った。

「どうしたんだい、急に真面目な顔して」

「あのさ、拓登はアメリカに住んでたけど、時々、日本には帰ってきてたの?」

「ああ、そうだな、おじいちゃんとおばあちゃんがいるから、夏休みとか長期で休みに入る時は、帰ってきてたけど、それがどうかしたかい?」

「その時、誰かに会った?」

「誰かって誰?」

「えっ、その友達とか、会いたい人とか」

「まあ、知り合いくらいは会ってたよ。親戚もいたしね。でもそれがどうしたんだい?」

 そこには瑛太はいたの?

 私はそれが聞きたかったのに、中々言えない。

 これを聞くと、私は拓登に対して疑っているようにも思えて、それがすごく不自然な質問に思えてならなかった。

 それにここではっきりとその質問をして、正直に答えてくれるのだろうか。

 もし会っていたとなれば、拓登と瑛太の行動が全てお芝居になってしまう。

 私は、急に怖気ついてしまった。

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