雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「えっと、別に大した事ではないんだけどね。でも、そうしたらさ、私とどこかですれ違ってることもあったのかな、なんて思ってさ。お互い知らない間に、子供の頃にどこかですれ違ってたら面白いかなと思っただけ」

 わざとらしかっただろうか。

 拓登の眉が少し動いたように、困惑した顔をしている。

 そしてまた笑顔に戻ると、楽しそうに声を発した。

「そうだったら、真由はどう思う? お互い過去にこの町のどこかで出会っていた。それもありえるかも。実際そうだったかもね」

 上手く返してくれた。

 それで私はなんだかほっとした。

 やっぱり拓登に聞くより、これは瑛太じゃないと、はっきりといえない。

 瑛太なら、例え罵っても思いっきり自分の意見をぶつけられる。

 瑛太の方が思った事を何でも言えるって、なんかおかしいけど、瑛太には気を遣わないで接する事ができるのはやっぱり相性がいいってことなのかもしれない。

 千佳が言っていた言葉が思い出された。

 似たもの同志。

 まあ、いろんな意味で似たところがあるのかもしれない。

 なんといっても、好きな人が同じなんだから──。

「真由、真由?」

「あっ、何?」

「どうしたんだい。急に考え込んで。さっきから呼んでるのにぼーっとしてさ」

「あっ、ちょっと色々と思うことがあって」

「もしかして、明日からの連休のことかい? 真由はどこかへ行くの?」

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