雨の滴と恋の雫とエトセトラ
 家について、服を着替えるときも、何を着ていいのか分からず色々と迷ってしまった。

 久し振りの顔見せになるだけに、どこかでいいように思われたい見栄というのもあるし、お洒落して行く程のことでもないし、その加減がよくわからない。

 窓から外を見れば、益々薄暗く雲が垂れ込めているので、結局は濡れてもいいようにジーンズを選んだ。

 そうこうしているうちに、そろそろでかけないといけなくなり、慌しく階段を下りて玄関に向かった時、母が不思議そうに覗いてきた。

「どこか行くの? 雨がふりそうだけど」

「わかってる。でもちょっと人と会う約束があるの」

「そうなの。夜道は暗いから気をつけてね」

 靴を履き、下駄箱の棚に置いてあった折り畳みの傘を手にした。

 そして玄関を開けようとしたとき、母が突然思い出して声を掛けてきた。

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