雨の滴と恋の雫とエトセトラ
「あっ、そうだ。あのほら、あの子」

「ん、あの子?」

「傘を貸した男の子よ」

「ああ、山之内君」

「そうそう、山之内君」

「彼がどうかしたの?」

「それが、かなりお金持ちみたいね」

「どうしたのよ、急に」

「別にどうしたってことじゃないんだけど、同じ名前の表札がかかった大きな家があったのを思い出したのよ」

「同じ名前の人で別宅かもしれないだけでしょ」

「でも、山之内さんって、お母さんちょっと知ってるかもしれないわ」

「そりゃ、同じ町に住んでるから、そういうこともあるかもしれないけど」

 私は自分の腕時計をみた。

 これ以上母と話していると時間をどんどん取られそうだった。

「多分、昔会った事があると思う。あれは確か……」

「お母さん、私急いでいるの、帰ってきてから聞くから」

「あっ、真由」

 私はさっさと玄関を出て、ドアを閉めてしまった。

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