雨の滴と恋の雫とエトセトラ
 どちらが悪いなんて関係なく、お互い見えないものに失望して、それが二人の間に入り込んでしまうと、どうしようもなく心が離れて行くのを感じ取っていた。

 拓登と会って、正確には再会に当たるわけだが、あの傘を貸したあの時から、私は一体何をしていたのだろう。

 拓登の事を考えては、一人で一喜一憂していた。

 その影で拓登は私が思い出す事を望んで、あれこれと瑛太と話を合わせて行動していた。

 考えれば考えるほど、自分を責めるように呆れてきてどうでもよくなってしまった。

「拓登、ごめん。でも、何に謝っているのかわからない。それなのに、ごめんとしか言えない。悪いけど、私、帰るね。もう真っ暗だし、ここにいてもどうしようもないから」

「真由、待って」

 拓登は咄嗟に私の腕を掴んだ。

 それを私は条件反射で強く振り払ってしまった。

 それにびっくりした拓登は、もうそれ以上何も言わず、私も無言でその場を離れた。

 その後は振り返らずに、傘を畳んで乱暴にカゴに放りなげ、その後はさっさと自転車を手にして、そのまま速攻で帰っていった。

 雨が顔に突き刺さってくる。

 それと同時に、余計な雫が目からも垂れていた。

 あの後三人が何を話し合ったのか、考えるもの嫌になるくらい、全てを忘れたかった。

 拓登とは以前のように戻れない何かを感じて、記憶が戻ったと同時に全てが泡となって消えてしまった感じだった。

 こんなことなら、思い出さない方がよかったのかもしれない。

 一番の元凶は、あの当時、私が拓登からもらった手紙を失くしてしまったことにある。

 もうすでに、そこで運命は決まっていたようなものだった。
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