雨の滴と恋の雫とエトセトラ
 自分の部屋に行き、何をしたいわけでもなく、ベッドに横たわった。

 静かな部屋に、雨の滴が何かに滴り落ちている音がかすかに聞こえ、流した涙のように悲しく感傷気分でいた。

 何に対してそう思うのか。

 もやもやとした持って行きようのない気持ちが、心の中を支配しては、どんどん自己嫌悪を助長していく。

 それこそ、お互いの気持ちをぶつけ合って喧嘩するほどに、もっとすっきりするまで話し合うべきだったのかもしれない。

 瑛太とだったら、きっとそうしていた。

 でも拓登とでは、私は逃げる事を選んでしまった。

 手紙を失くした負い目。

 拓登の失望。

 試されていた悔しさ。

 全てが自分に降りかかって、こんなはずではないと我慢できなくなってしまった。

 拓登の事が好きだから、どこかで隠していたい恥ずかしい気持ちやプライドが、素直になることを邪魔していた。

 拓登も拘って譲れない感情があったように、私も耐え難いほど譲れなかった。

 かすかに、スマホの音楽が聞こえてくる。

 私ははっとして、ベッドから飛び降りて鞄の中をあけた。

 見れば阿部君の番号だった。

 恐る恐る通話ボタンを押してでた「もしもし」は、様子をさぐるような怯えた感じの声になってしまった。

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