一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
これ、どうやって脱ぐの?
心臓がバクバクと不穏に響き始める。もう一度時計に目をやった。もうすぐ雅臣が帰ってきちゃう。あわてて髪に留めてあった獣の耳飾りをはずした。
鏡に背中を映してとりあえず結んであったリボンを引っ張ったけれど、ヒモが解けたところで体の締め付けは緩まない。なにがどうなっているのか、編み上げの箇所を触ってみるものの、うしろ手だしよく見えないし一向に脱げそうな気がしない。
なにをやっているんだおまえは。そう言って嫌そうに眉間へしわを寄せる雅臣が目に浮かんだ。もしくは呆れた顔をするだろうか。二條家の嫁になろうという人間がはしたない、と怒られる自分の姿が容易に想像できる。
「もう! 伊都さんたら!!」
着せたなら、ちゃんと脱がせていってほしい。