一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
刻々と針を進めていく時計を見ながら、焦りばかりが募っていく。
伊都さんを追いかけようにも、この格好で表に出ること自体に抵抗がある。どこで誰が見ているのかわからないのだ。雅臣の家族や使用人に私がこんな格好をしているところを目撃されたら、いろいろと面倒なことになりそう。
普段だったら楓さんに頼めるのに、お休みの日に限ってこんなことになるなんて。パニックになりかけたところで、はっと思いついた。
そうだ。坂城さんに連絡しよう。
本邸の使用人頭でありながら雅臣と私の事情にも明るい彼なら、呆れた顔をしつつも力になってくれるはず。
我ながら名案だと思いながら携帯を取り出したところで、玄関の扉が開く音がした。
沸き立った気持ちが一気に下降する。
うそ、もう帰ってきた⁉