一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
時限爆弾が破裂する前の状況ってこういう感じなのかもしれない。今すぐ逃げ出したいのに、背中を向けた瞬間に爆発が起こりそうで目が離せないというか……。
やがて形のいい唇が小さく開いた。
「なんて格好をしてるんだ、おまえは」
静かだけれど鋭い声だった。睨みつけられ、慌てて弁明する。
「ち、ちがうんです。これは伊都さんに無理やり……」
はあっとため息をついて、雅臣は荷物をカウンターに置いた。私の方を見ないまま「まったく」と不機嫌そうにつぶやき、紙袋からテイクアウトピザの箱を取り出している。
どうやら言葉を失うくらい呆れられてしまったらしい。
これまで以上に居たたまれない気持ちになって、私は手にしていた携帯を操作した。
「ひとりじゃ脱げなくて。今、坂城さんに連絡しようと」