一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
 言い訳するように口にしたとたん、腕を掴まれた。

「よせ」

 携帯を奪われ、私は固まる。

「そんな姿、夫以外の男に見せるな!」

 鋭い視線に見下ろされ、ぽかんとした。雅臣はもう一度、今度は肺の空気をまるごと入れ替えるような深いため息をつく。

「伊都のヤツ、ほどほどにしろとあれほど……。あいつのカワイイモノ好きにも困ったもんだな。写真とか撮られなかったか」

「え」

 携帯を返してもらいながら、整った顔を見上げた。いろいろと引っかかる言葉があったけれど、雅臣は依然として渋い顔をしている。

 言葉をこぼそうとしたら声がかすれた。小さく咳ばらいをして、ひとまず質問に答える。

「撮られました、スマホで。SNSに載せるって」

「あいつ」

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