一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
驚いたのは、雅臣の両親や双子の妹弟まで顔を出してくれたことだ。神妙に参列しつつも驚き戸惑っている様子の彼らに、私は母のことをなにも知らせていなかったことを詫びた。離縁されることも覚悟していたのに、雅臣のお父さんも清香さんも私に労わるような言葉をかけてくれた。
母を失うことはわかっていたし、覚悟だってしていたつもりだ。
だけど実際にいなくなってしまうと、どうしても実感が湧かない。まだどこかの病院に入院していて、私がお見舞いに行くのを待っている気がする。そして出かける支度をして、いざ玄関を出ようとしたときにどこの病院に行っても会えないことに気づく。そんなことを、何回か繰り返した。
空虚だ。
私はこれまで、母のためだけに生きてきた。その本質が失われたら、これから先、なんのために生きればいいのだろう。