一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る




「おい、愛」

 気がつくと、また雅臣に顔を覗き込まれていた。

「出かけるぞ」

「え……?」

 時間の感覚すらなくなって、今がいったいいつなのかがわからなかった。リビングの大きな窓から注ぐ光が優しい色合いだから、もしかすると朝かもしれない。

 でも雅臣はスーツ姿ではなく、シャツにジーンズというラフな出で立ちだ。

「出かけるって、どこに」

「いいから、行くぞ」

 強引に引っ張られて、私はワンピース姿のまま外に連れ出された。

 久しぶりに触れた外気は、じっとりと湿気を含んでじめついている。気温も思っていたより高くて、雅臣邸は室温が快適な温度に保たれていたのだと今さら気づいた。

 私が立ち止まっている間に、季節はゆっくりと進んでいる。

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