一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る

「ほら」

 さらにコーラの入ったグラスを差し出し、ニヤっと口角を上げる。

「庶民の映画鑑賞はこのスタイルが基本なんだろ」

 ぽかんとしてから、手に持ったものを見下ろした。容器に入った山盛りのポップコーンにコーラ。まるで映画館のCMに出てくるアメリカ人みたいな装いだ。

「……バカにしてるでしょ」

 ソファのような大きなシートに腰を下ろし、口を尖らせながらポップコーンをひとつ摘み上げる。イチゴやらチョコやらキャラメルやら、いろんなフレーバーが交じったそれは、やっぱり庶民の食べるものと比べると贅沢品だ。

 流れ作業のように口に運んでいると、ふと手を掴まれた。そのままもっていかれたと思ったら、雅臣は私が摘まんでいたキャラメル味のポップコーンをぱくりと食べてしまった。指先に唇が触れてどきりとする。

「ん、意外とうまいな」

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