一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
グラスに注がれるワインを見つめながら、意識が遠のいていくような気がした。
丸いグラスの中で赤い液体を揺らしワインの香りを楽しんでいる雅臣。
周囲にいる人たちと比べても完璧に整った外見をもっていて、類まれなる名家の御曹司で……。
私とは、生きる世界が全然ちがうのに。
「あなたは……どうしてそんなに、私に」
やさしくしてくれるの――?
最後まで口にすることができなかった。ぐらりと視界が揺れて、椅子から落ちそうになる。
「愛⁉」
とっさのところでテーブルのへりにつかまった。ぎゅっと目を閉じて目眩をこらえながら、どうにかつぶやく。
「ごめんなさい。大丈夫です」
慌てたように椅子を立つ雅臣に、小さく笑いかけた。自分で思っているよりも疲れていたのだろうか。