一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「ちょっとお酒が回っちゃったみたいで――ひゃっ」
急に体が浮いて、私は堅い胸にしがみついた。雅臣は私を横抱きにし、ゆっくり歩きだす。
「あ、あの」
食事をしている人たちの視線が集まって、頬が熱くなる。
「雅臣……大丈夫だから、下ろして」
そう訴えても、彼は足を止めなかった。人々の目なんて気にも留めず、ただ黙って私をレストランの外へと連れていく。
彼に抱え上げられるのは二回目だ。最初の時はまるで荷物でも持ち上げるみたいに乱暴な担ぎ方をされたけれど、今は全然違う。
触れた手から、労わりのようなものが感じられる。胸も腕もたくましいのに、まるで大事なものを守るように彼はそっと私に触れている。