一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
エレベーターで客室フロアに向かうと、雅臣は両開きのドアを開けて中に入った。ずいぶんと広い部屋だ。サロンのようなソファセットやゲストルームまである。ちょっとした邸宅のような室内を歩いてベッドルームの巨大なベッドに私を座らせると、彼は心配そうに顔を覗きこんできた。
「大丈夫か」
「だ、大丈夫です」
真剣な瞳に見下ろされると調子が狂う。心臓が忙しなくて、私はごまかすように辺りを見回した。
「ずいぶん広い部屋ですね」
「スイートルームだ」
人生初のスイートルームに呆気に取られているあいだに、彼はサイドテーブルに用意してあったガラスのコップに水を注ぎ入れる。
グラスを受け取りながら、私は口を尖らせた。
「どうして部屋をとってるんですか。最初から泊まるつもりだったの?」