一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「当然だ。エッグベネディクトは朝食だろ。泊まりもせずにわざわざ朝から食べに来るとでも思ってたのか」
不遜な物言いなのに、その目はどこか柔らかい。
胸が高鳴って仕方なかった。
この人は、どうしてそんなふうに私を見るのだろう。
イジワルだったり、優しかったり、つかみどころのない雲みたいにふわふわしているかと思えば、力強く抱き寄せてくれたりする。
雅臣の考えていることが、わからない。
ただひとつわかるのは、彼がなにひとつ持たない私と違い、すべてを手にしている、住む世界が異なる人間だということだけ。
今日一日楽しかった反動だろうか。気持ちが急速に下降していく。お酒を口にしたのに、高揚するどころか胸の奥が痛みだす。
「……結婚、終わらせてもいいですよ」
気がつくと、そう口にしていた。
「は?」