一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
「私は救われました。もう大丈夫だから……あなたはもっとちゃんと、自分にふさわしい相手を選ぶべきです」
本当に好きな人と、幸せになってもらいたい。
豪勢なスイートルームに静けさが下りた。私を見下ろしていた雅臣がはあと息をつき、となりに腰かける。
「……いいのか、おまえはそれで」
静かな声に、胸が軋む。
私は最初、この人のことを恐れていた。憎んでいた、ともいえるかもしれない。
選びようのない選択肢を与えられ、あたかも私に選ばせたような形で自分の思い通りに物事を進めた傲慢な御曹司。
結果はともあれ、はじまり方はひどく強引で、契約上やむを得ず一緒になっただけだ。そこに愛はなかった。だから目的さえ果たせれば、後は別れたって一向にかまわない。
そう思っていた、はずなのに――。