一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
ふいに肩を抱き寄せられ、唇に柔らかな感触が触れた。突然のキスに驚く間もなく、広い胸に閉じこめられる。
「……残念ながら、おまえはひとりにはなれない」
低い声は、直接脳に響いてくるみたいだ。
「おまえは俺とともに人生を歩むんだ。泣こうが喚こうが、この先ずっと」
シャツ越しに硬い胸の感触を感じる。香水だろうか。息をするたびに、雅臣の鋭さを体現したようなシャープな香りが私の中に充満していく。
「運が悪かったな」
言葉が次々と頭上から降ってくる。まるで雨に打たれているみたいに、雅臣のセリフは私の中にじわりと沁みこんでいく。
「おまえを待ってるのは、寂しいなんて思う余裕もないくらい、忙しい未来だ」
なんて傲慢なのだろうと思う。