一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
最初からそうだった。雅臣は私の話なんて聞かないで、物事をひとりで決めてしまう。
いつも強引で、勝手に結婚を決めたり、勝手に画材を買ってきたり、勝手に私を連れ回したり。
そうやっていつも――私のために。
おさえていたものが決壊して、ぼろぼろと頬をつたっていく。あふれ出た涙はあっという間に雅臣の服まで濡らしていく。
「だから、おまえは黙って俺のそばにいろ」
シャツをきつく掴んで、彼の胸に顔を押しつけた。そうしないと、嗚咽が漏れそうだった。
大きな手のひらが私の頭に触れる。髪をすくようにやさしく、慈しむように私を撫でてくれる。
どうして雅臣に触れていると、こんなにも安心できるのだろう。こわばっていた心が丸ごとほどけていくみたいで、私は子どものように彼にしがみついた。