一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
寝顔をそっと見つめる。眠っている彼はとても無垢だ。起きているときにまとっている威圧感が消えると、見目麗しい好青年になる。
目を閉じていると、まつ毛の長さが際立つ。形よく隆起した鼻に、微かに開いて呼吸をする唇。すぐ隣で無防備に寝ている雅臣を見ていると、温かいなにかが胸の底にじわりと広がっていった。
そのとき、閉じていた瞼がぱちりと開いた。茶色の瞳と視線がぶつかって、ぎくりと体がこわばる。
「……まだか」
「えっ?」
「俺の寝込みを襲うんじゃないのか?」
低いつぶやきと同時に、腕を引っ張られてベッドに引き戻される。スプリングが跳ねて、あっという間に組み敷かれた。
寝起きの気だるげな目に見下ろされ、どきりとする。