一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
どうしよう。まさかそんな値段になるなんて……。母の病院代で貯金はほとんどないし、そもそも一億円なんて大金、一生働いたって稼げっこない。
「遺族なんだから、金を得る手段ならいくらでもあるだろ。絵が手もとになくても権利は残ってるはずだ。それならいくらでもやりようがある」
「お金がほしいんじゃないんです。父の絵が必要で……」
「それなら、ほかの絵を別の誰かから買い戻すんだな」
「だめです」
足先から見える絨毯の模様がぐるぐると渦を巻いていくみたいだった。
ここまできたのに……。やっと話を聞いてもらえたのに。
あきらめるしかないの?
「ここにある絵じゃなきゃ、意味がない」
威厳たっぷりに話を聞いていた彼の眉根が、怪訝そうに寄る。
「どういう意味だ?」