一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
私の視線をまっすぐ受け止めて、二條家の人は静かに口を開く。
「……どんな事情があるにせよ、価値のあるものをただ同然で渡すわけにはいかない。大型の美術品は搬出だけで相当な費用がかかるし、そもそも二條家の当主が許さないだろう」
ゆっくりと吐き出された言葉が重い。ずしりと体にのしかかって、そのまま潰されそうだった。
広い敷地に豪華な邸宅。天下の二條グループの名前は、小学生ですら知っている。なにもかも持っている彼らとなにひとつ持たない私が、対等に渡り合えるはずがない。
もうなんの手立てもないの……?
うなだれたまま立ち尽くしている私に、低い声が言った。
「こういうのはどうだ」