一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る
だからしっかり手を握り締めた。崩れ落ちてしまわないように。私もここで一緒に立っていることを、彼に知っていてもらうために。
「清香は承諾してくれた。あれはあれなりに、今が幸福だと言ってくれる」
「……はっ、あんたも年を食ったしな。それで末息子が一番かわいくなったってわけだ」
「……なに?」
わずかに首をかしげる父親に、雅臣は皮肉っぽく笑う。
「だいたい、愛した女の息子につける名前じゃないだろう。一般家庭とは違うんだ。二條の家に生まれて、臣――陰で支える者、なんてな」
「……おまえたちの名前は、私がつけた」
「はは、そうか。やっぱりな」
半ば自棄になっている雅臣の手を、握りしめる。きっと彼が私と手をつながずに拳を握っていたら、爪が食い込むくらい握り締めて自身を傷つけていたに違いない。