一億円の契約妻は冷徹御曹司の愛を知る



 帰りの車内は無音だった。

 音楽やラジオを流すでもなく、雅臣はハンドルを握ったまま黙って前を向いている。

 いろいろと気持ちを整理する上で、ドライブは最適かもしれないと思った。雅臣もきっと、流れる景色を眺めながら様々な感情をあるべき場所にひとつずつ納めているにちがいない。

 そう思うのは、彼の表情がどことなくすっきりして見えるからだ。

 派手な車に乗っているわりに落ち着いた運転をする彼は、赤信号待ちの交差点でふとウインカーを出した。

「ついでだから、寄り道をしていくか」

「寄り道? どこに――」

「この少し先に、倉庫がある」

 倉庫?と眉をひそめる私に薄く笑いかけ、彼はハンドルを操作した。

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